・ぼくの ポーポが こいを した:村田紗耶香著のレビューです。
感想・あらすじ:村田紗耶香さんがえほんを書くと!?
恋の絵本シーリズの一冊です。
村田紗耶香さんが絵本?これはまたちょっと怖い感じ?歪む感じなのか~と、読む前からゾワゾワ感はありますが、なんてったって「恋の絵本シリーズ」ですもの。小説の村田ワールドとは違うだろう、タイトルだってほのぼのしている。平気平気とページをめくった。
ぼくのポーポなのに・・・・。
これだけの言葉なのに、少年のやるせなさのすべてが詰まっている。
ポーポは少年がサンタにもらったくまのぬいぐるみ。
なのに恋をしちゃったのです。しかも、おばあちゃんと。
ふたりは結婚もきまりました。
少年はふたりのことが気に喰わず、お母さんたちに訴えかけたり、
ポーポとおばあさんと話し合ったりします。
「きもちがわるいよ」
こんな言葉まで、少年の口から出てしまいます。
少年は、ふたりの結婚を認めることができるのか?
変化は結婚式の日に起こります。
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短い話ではあるのですが、恋をすること、LGBTの家族、常識とは?そして、成長などが、ギュッと詰まった内容であることが窺えます。ぬいぐるみと結婚すること自体、ちょっと奇異な目で見てしまうし、このおばあさんのウエディングドレスは真っ黒で、一瞬ギョッとさせられる。でも、これって自分の中にある「結婚のカタチ」と違うから驚いたのだ。
どんなカタチであっても、自分が幸せであることがどんなに尊いことであるか、このおばあさんとポーポが私たちに教えてくれる。
村田さんらしいなって思える部分も無きにしも非ず。素敵なお話でした。
恋の絵本シリーズ
岩崎書店の「恋の絵本シリーズ」は、他にもさまざまな作家さんの作品があるのよ。特設サイトがあるので、ぜひ参考にしてみてね。