もりへぞろぞろ:村田喜代子著のレビューです。
大好きな作家・村田喜代子さんの本。でも絵本?村田さんって絵本も書くの?と、表紙の名前を二度見してしまったほど意外と言えば意外に思えた。
でも、よーく考えてみると、村田作品ってどこか滑稽であったり、ユーモアがあったり、動物が擬人化されていたり....など結構あるので、絵本になってもきっとその感じが面白いかも?いや、むしろ合ってるかも?と、いろんな思いが頭の中を巡りました。
「もりへぞろぞろ」 さぁ、ぞろぞろ、わたしも森のなかへ入ってみます。
さっそく、動物たちが話をしています。
なんでも山のずっとずっと奥の方に、病気の治る森があると言うのです。
そこは昼でも暗く、怖いものたちがいっぱいいるという噂があります。
でも、病気が治るなら・・・悩ましいですよね。
そこで森の動物たちは病人をいっぱいあつめて、みんなで森へ向かうのです。
そう、みんなで渡れば怖くない的な(笑)
元気な動物が担架で病人を運びます。その様子が面白んですよ~。
ヘビが乗った担架は長ーいもの。亀なんてさかさに吊るされて運ばれていたり。
最初はページにも余白があったのけど、徐々に動物の数が増えて行く。
どんどん周りは薄暗くなっていく。
ぞろぞろ ぞろぞろ ぞろぞろ
ページいっぱいに動物たちが!
そしていよいよ・・・・
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絵は近藤薫美子さん。不気味な雰囲気とひょうきんな動物たちの表情。怖いんだか、可笑しいんだか・・・。でもね、最終的にはなんだか多幸感的ものが押し寄せるのです。
生きる喜びだったり、自然の恵みのありがたさが感じられる絵本。
そして、読み終わと、「あれ?わたしどこに居たんだろう?」と。
今さっき見た風景は森?それとも?
小説にしてもえほんにしても、やはり村田さんの描く世界はどこまでも不思議。