怪談えほん(12)おろしてください:有栖川有栖著のレビューです。
感想:どうする?おりられない電車に乗ってしまったら....
地下鉄に乗っていると、「もし、今ここに閉じ込められたら?」ということをいつも考えてしまう。閉所恐怖症気味であるわたしは、あのような空間が苦手。外が見えてればまだいいのだけどね。窓に映る真っ暗な景色が、なんとも不安にさせられるんですよねぇ。
さて、怪談えほん、今年も順調に現れました。絵本の新刊のなかでも、ひときわ目を引く表紙とタイトル。読む前からわくわくが止まりません!
裏山を探検していたぼく。
道に迷ったぼくは、途中である駅を見つけます。
やがて、駅には列車がやって来ます。
ぼくはその電車に乗ったのですが・・・・。
このあと、列車のなかで起きた出来事が描かれています。
とにかくここからは、ページをめくっても、めくっても、物凄く不気味で怖い世界に身を置かなければならなくなります。
なんといってもこの迫力ある不気味な生きものは、なに?
まさに悪夢としか言いようがありません。
おりたくても、おりられない、逃げたくてもどこへも行けないといった空間を、本当にうまく使ったえほんです。
主人公のおとこの子、どんなに怖い思いをしているか、心臓の音が聞こえてきそうなほど、おびえている様子が伝わって来ます。
怪談えほんシリーズ、ラストに来て救われるとは限らない。
まったくもって容赦なし。侮れません。
さて、「おろしてください」という、少年の願いは叶うのでしょうか?
それは読んでのお楽しみ。
このえほんについて
出版社 : 岩崎書店
発売日 : 2020/1/17
言語 : 日本語
単行本 : 32ページ