お話の種をまいて プエルトリコ出身の司書プーラ・ベルプレのレビューです。
感想・あらすじ
タイトルを見ただけで、ちょっとワクワクしませんか?
それにこの装丁画。明るくて、賑やか!
読む前から、心躍る気分にさせられる絵本。
この本のタイトルの下のサブタイトルは、「プエルトリコ出身の司書プーラ・ベルプレ」です。司書さんの話なのでしょうか?
主人公のプーラは、1921年におばあさんが教えてくれた物語といっしょに、プエルトリコからニューヨークにやってきます。
洋服の仕立ての仕事をしていたのですが、なんとなく合わないと感じていた。そんな彼女に図書館で働けるチャンスが巡ってきます。
図書館で働くようになって気が付いたのは、図書館にはプエルトリコの民話が一冊もなかったのです。そこで彼女は行動を起こすのです。
彼女が持っているのは行動力と、すでに持っているお話の種。
彼女がその後、それらの種をまいてどうなったか?
それは数十年のもの時を経て、しっかりと大地に根を張り、生き生きと育ったのであります。年を重ね、彼女が再び見た風景がとても良かったなぁ。
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いいお話です。
ひとつのアイデアという「種」が育ち、ちゃんと数十年後も生き続け、受け継がれていく様子を、彼女の人生と重ね合わせながら読む絵本。30ページちょっとなのに、映画を観たあとのような読後感でした。
主人公の女性は「ラテンアメリカ文化の母」として、司書、作家の枠にとらわれ活躍し、「プーラ・ベルプレ賞」にその名を残した方とのことです。
巻末には、プエルトリコの民話の紹介もあり、彼女がずっと大切に持っていたお話も紹介されています。あまり馴染みがないプエルトリコのお話に触れることが出来たのも良かったです。
デニス,アニカ・アルダムイについて
現在は、絵本作家として活躍中。夫と3人の娘と一緒に、ロードアイランド州で暮らしている