えほんの本棚

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【レビュー】空からのぞいた桃太郎:影山徹

 

 

 

 

空からのぞいた桃太郎

 

 

空からのぞく。

こういったものが最近多いですね。ぽつんと一軒家とか、空を散歩するような空撮番組とか。たぶんこの流行りは、グーグルマップという便利なマップが出現し、その面白さを誰もが知ったからでしょう。とにかく空から見てみると、意外な発見が多くて楽しいものです。

 

図書館でこの本を見つけたとき「ついに絵本まで」と。しかも「桃太郎」とは!

だれもが知っているこのお話。それを空からのぞくという発想はなかった!

 

さっそく読んでみると、おはなし自体はヒネリなし、そのまんま「桃太郎」です。

しかし、風景が変わるとこんなにもイメージが変わるものかと、ちょっとした感動がありました。

 

おばあさんとおじいさんの家は、広大な自然に囲まれ、それはそれは四季の移り変わりが美しいところだという事がわかります。

 

そして、桃太郎が鬼ヶ島へ行くまでの道のりが、いかに厳しい道のりで遠いところだったかも分かります。

 

そして、一番の迫力は 鬼ヶ島

ここ、こんなにも鬼がいたのか!って思うほど、うじゃうじゃ鬼がいます。

デートしている鬼とか、立ち話してる鬼とか、子連れで買い物してる鬼とか。

よく見ると結構キュートです。

 

そこに挑んでいく桃太郎。鬼を根こそぎやっつけます。

あれ、なんか桃太郎が悪者に見えますが!?

 

鬼たちはいたって平和に暮らしていたのに、桃太郎によってその生活が奪われたような気持ちになってしまう。桃太郎が乗り込んでくる前のページがあるとないとで、このおはなしの感想がまったく違うものになった気がします。

 

やはや絵の力を知ることになったえほんです。

こどもたちに、この桃太郎がいい人なのか、わるいい人なのか、聞いてみたいところです。