ちいちゃな女の子のうた”わたしは生きてるさくらんぼ : デルモア・シュワルツ著のレビューです。
わたしは 生きている さくらんぼ と
ちいちゃな女の子が うたいます。
まいあさ わたしは あたらしいものになるのよ。
わたしは毎日新しいものになる。
なんて希望に満ちた日々なのでしょう。
大人になると変化のない毎日になりがち。
こんな新鮮な気分で朝を迎えることなんて、もうないんだな。
冒頭のたった4行で、そして、真っ裸な女の子の姿に、
生命のきらめきを感じさせられる。
女の子はいろんな可能性を秘めている。
どんなものにもなれる、どんな色にもなれる、自信と希望。
でも、女の子は知っている。
大人になるとみんな子どものときのことを忘れてしまうことも。
まぶしい、まぶしい姿の女の子が、軽やかに歌いながらわたしに言う。
「こんな風に思ったこと、あなたにもきっとあったはずよ。」と。
ポンポンと肩を叩かれたような気分になりました。
いろんなことを大人になると忘れてしまう。
いつの間にか過ぎ去ってしまった子ども時代。
わたしたちはたくさんのものをそこに置き去りにして来たのかもしれません。
バーバラ・クーニーさんの非常に美しい色彩で描かれた絵本でもあります。
特に四季の移ろいを描いたページの美しさは息を呑みます。