さみしかった本:ケイトバーンハイマー著のレビューです。
自分のお気に入りの本、その本がどんなに好きなのか、その度合いを表現するのはとても難しい。どんなに言葉を重ねても、まだまだ、まだまだ、伝えきれないことがままある。
本書はそんなもどかしい思いもすっ飛ぶほど、主人公の女の子がお気に入りの本のことが大好きという気持ちが伝わって来るのです。
好きの想いは女の子だけではない。本の方もまたこの子が大好きだと言う、いわば本と女の子の関係が羨ましいほどの両想いなのです。
あたらしく図書館に入って来た本は、新刊コーナーに置かれ、大勢の子どもたちに読んでもらえる。本にとって最も幸せな時期なのです。
しかし数年経つとその姿は古くなり、誰にも読まれなくなります。そして書庫へ。 本もね、寂しい気持ちでいっぱい、ずっと読んでくれる人を待ち続けることになります。
さみしい本はある日、ひとりの女の子に見つけられ、読んでもらえました。
女の子と本の出合いです。女の子はこの本をとても気に入ってくれました。
時が過ぎ、女の子と本は離れ離れになり、会えなくなってしまいます。
でも、女の子の心にはうっすらあの本の存在があります。
本の方もまた女の子にずっと会いたがっているのですが・・・・・。
果たして、再会はできるのでしょうか?
ラストは思わず目頭が熱くなってしまいました。
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とても良い話だったなぁ。
女の子の想いと本の想いが本当に良い。
ボロボロになってもすっとそばに居て欲しい本。
そんな本の存在がある人は、ちょっと泣けてしまうかも。
女の子の好きな本はどんな本だったのでしょう?
実はその本、ボロボロで結末のページがないから分からないんです。
でもね、だからこそ私たちは素敵なラストを見ることが出来たのです。