お花見、月見、紅葉狩り、雪景色、鬱陶しい梅雨時だって、紫陽花が咲くと気持ちが晴れる。金木犀の香りが空気の中に漂ってくると幸福感に包まれる。大人になってからも季節を感じる場面は 日々あって、でも、こどもの時に見た季節とはまたちょっと違う気がしないでもない。
こどもが見ている季節はもっと直接的。葉っぱを取ってみたり、雪を食べてみたり、裸足で土や芝生の上を歩いてみたり。この絵本はそんなわたしたち大人が、かつてした自然との向き合い方を思い起こしてくれるような世界を見せてくれる。
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農場に住む女の子・サリーは、しっかり大地を足で踏み、四季の移ろいを自分の身体を全部使って確かめています。
鳥のうたごえ、花の匂い、気持ちいい風、野いちごの味。
全身をつかって季節を感じる機会なんて大人になると滅多にないけれど、昔こどもだったわたしたちは、サリーがしていること、見ているもの、感じているもの、みんな知っている。 だからとても懐かしく、いつか見たあの風景に会いたくなるのです。
最終ページのラスト4行、これがサリーからのメッセージ。忙しいおとなたちにしずかに囁いてくれた一言が印象的です。
ターシャ・テューダーはアメリカの絵本画家・挿絵画家・園芸家・人形作家である。 彼女の描く絵は「アメリカ人の心を表現する」絵と言われ、クリスマスカードや感謝祭、ホワイトハウスのポスターによく使われている。 (Wikipediaより)
挿絵も色使いがとても綺麗です。ゆったりとした気分にさせられる素敵な絵です。