おなじ窓でも、朝と夜ではちょっと違う。
朝なら平気な眺めでも、夜の眺めは、なにかの気配を感じたり、物音が聞こえたり。あの怖さは格別。 おとなになっても怖いまど、そしてそのそと。
知る人ぞ知る岩波書店の〈怪談えほん〉シリーズ。第三期に入りました。
毎回、魅力あるタイトル、そして大迫力の恐怖迫るイラストが印象的な絵本ばかり。まだまだ、読み切れていませんが、コンプリートしたいシリーズであります。
今回の注目は俳優・佐野史郎さんが手がけたということ。佐野史郎さんと絵本、なかなか結び付かないものがありますが、この意外性がシリーズの面白いところでもあるようです。
かた かた かた かた
かた かた かた かた
おはなしは終始この音に包まれています。
カーテンの向こうで、一体なにが起きているのでしょう。
眠りたいのに眠れない少年。
まどのそとがますます気になります。
やがて少年はカーテンを開けてまどのそとを覗くとそこに・・・。
眠りにつくまでのちょっと混沌とした時間。
現実でも夢でもない狭間の世界は、心地よい時もあれば、まるで異界に足を踏み入れたようなときもあるのではないか。少年はそんな狭間の世界を彷徨っているような感じがします。
このおはなしで怖いのは、まま、ぱぱ、いもうとの存在だ。
いるのか、いないのか?人なのか?なんなのか?
はっきり言って、怖いの源がまるっきり判らない。だから怖いのです。
ラストのページに見るそとの風景のもの哀しさ、なにか放り出されたような心細さが残ります。
何度か読みました。けれども何度読んでも掴めない怖さしかない。
そんな一冊でありました。
イラストはずーっと薄暗く、畳の目までもが、なにか不気味な雰囲気を醸し出しています。 かた かた かた かた