なんとなく近寄りたくない場所、近寄ったら何かが起こるのではないか?
すべては思い込みだったりするのだけれども、ぐるぐる考え始めると、もっともっと怖くなる。だからこどもにとって、そんな場所は出来るだけ避けたいと心から思うもの。
主人公・豆太はまだ5才の男の子。おじいさんとふたりで暮らしています。 夜中にトイレに行くのが怖い。というこどもはたくさんいる。でも、豆太のところは外で用をたすのです。うん、これは、わたしも無理かもしれません。
日本でいまだ外トイレという家は、もうほとんどないと思われますが、昔は結構あったのでしょう。豆太は遠慮がちにおじいさんを起こし、一緒に行ってもらわなければなりません。
豆太の怖いの原因は、家の前にある大きなモチモチの木です。昼間はなんてことがないに、夜になるとなんだか怖いのです。このモチモチの木には不思議な木でもあるのです。
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こういうことって、どんなタイミングで克服できるのでしょう?あんなに怖かったのに、気が付いたら「そんなこともあったな」程度のものになっていることって案外多い気がします。
豆太は「火事場の馬鹿力」的に勇気を持つことで、ほんの少し強くなります。すべてはおじいちゃんを助けるため。甘えん坊の豆太が強烈に力を発揮したシーンが印象的です。優しさから生まれた勇気。そしてその時見たモチモチの木はどんな風に豆太の目に映ったのでしょうか?ぜひ、読んで確かめてみてください。
挿絵は滝平二郎さん。切り絵っぽく、全頁ダークな雰囲気。モチモチの木もすごい迫力ですが、じさまに刻まれた深い皺も印象的で味わい深い。