海ガラスの夏:ミシェル・ハウツ著のレビューです。
おはなしのあらすじ・感想
舞台は海辺へ。
浜辺にはいろいろなものが流れ着く。今ではどこかの国のペットボトルとか缶とか網ととかありとあらゆるものが長旅を経て到着する。本当は、お手紙入りのガラスのボトルなんかだとドラマが生まれるのになぁ。現実はそうもいかないようです。
でも、えほんの世界ではそれを叶えてくれるから嬉しいですね。
「海ガラス」このお話は小さなガラスの欠片が、とてもステキな過去と今を結び付けてくれるのです。
夏休みに海が目の前にあるおばあちゃんの家で過ごしているトーマス。
ある朝、海岸で海ガラスを拾います。その晩、海ガラスを枕もとに置いて眠ったトーマスは、不思議な夢を見ます。丸くなったガラスは一体、彼にどんな世界をみせたのでしょうか。
海ガラスには、ひとつひとつに違う物語があるんだよ。このガラスはどんな旅をして来たんだろうね?
人の一生よりも長く旅してきた海ガラスもあることでしょう。ちっぽけな欠片でもおおきなドラマがもしかしたそこにあったかもしれないと思うとちょっと感動ですよね。
こどもたちは目線が低いせいか、おとなよりずっと地面に落ちているものを見つけるのが上手い。秋になると必ず公園で出くわす場面と言えば、こどもたちのどんぐりひろい。あれ、始めるとほんとうキリがない。脇目もふらずに拾っているちびっこを見ると「わたしもそうだったなぁ」と苦笑い。あの集中力はどこからやってくるのだろう。あんなにも地面と対峙する時間はおとなになったらそうそうない。本作は夢中になってなにかを拾い集めた日々をも思い出す絵本でもありました。
挿絵は過去のシーンは一色刷り、現在はカラーというスタイル。モノクロの過去を振り返りながらといった雰囲気が凝っています。
ミシェル・ハウツについて
児童文学作家。科学読み物Lucy’s Lab(絵エリザベス・ゼシェル)、デンマークの民話に基づいたWinterfrostなど伝記や物語を多数執筆。絵本作品に、When Grandma Gatewood Took a Hike (絵エリカ・マグナス)がある。オハイオ州に農園を所有し、昔ながらの一部屋だけの学校を改築して、そこで執筆を続けている。
このえほんについて
- 出版社 : ビーエル出版
- 発売日 : 2019/6/26
- 大型本 : 32ページ